空家・空き地の相続

0.はじめに

空家や空き地の相続の場合「とりあえず共有にしておこう」は危険です。

空家・空き地を相続する場合、基本的には相続の権利者全員で「誰が」「何を」「どれだけ」相続するのかを協議します。これを「遺産分割協議」といいます。

この遺産分割協議が終了するまでは、原則、相続人全員の共有となります。相続人の間で遺産分割協議が整い、「遺産分割協議書」を作成して、初めて空家や空き地の相続人が決定することになります。

空家を全員の共有名義にすることも当然可能ですが、その空家の利用や管理・処分等、今後の行く末を考えた場合、単独の名義にすることをお勧めします。

理由は、単独名義の方が将来的に空家等の利活用や処分・建物解体・改装等が容易であるためです。

1.共有名義にした場合

共有名義(2人以上で共に所有すること)の場合、共有者全員の意思確認・統一のもと、物事を一つ一つ進めていかなければなりません。

また、共有者全員の意思統一を図ることが出来ればいいが、共有者間で意見や考えが異なったり、共有者の誰かと連絡がつかずに意思確認をとれなかったりする場合は、物事を進めることはできません。

更に共有者の一人に新たな相続が発生した場合は大変です。

その新たな相続人が複数名の場合には、共有者が増えて更に意思統一を図ることが困難となり、空家や空き地が“塩漬け状態”となり放置されるケースが多々見られます。

2.共有不動産に対する問題点

•共有不動産の売却や賃貸活用にあたっては、他の共有者の同意が必要となる。

•共有者間で利害が対立すると調整が困難になる。

•共有持分の単独売却は難しく、容易に資金化ができないこともある。

•建物のリニューアル、建替えも共有者全員の同意が必要となる。

3.共有不動産に対する問題点の対策

遺産分割協議により、共有名義としている空家・空き地を保有されている場合は、共有者の関係が良好なうちに換金・処分を行い、現金で分配することをお勧めしております。

その他、以下のような対応も可能です。

・資金的に余裕のある共有者が、他の共有者からその持分を買取る。
・共有不動産が複数ある場合は、「持分の交換」を活用し、単独名義にする。

なお、空き地の場合は、土地自体を分割する方法もありますが、分割後の土地形状などによっては、不動産価値を損ねてしまう場合があるので、注意して下さい。

現在の空家・空き地問題の原因の一つには、「共有者全員の意思統一が図れず放置している」というような背景があります。
4.その他対策

被相続人(両親等)が当時に取得した書類等の確認を行いましょう

相続した空家や空き地は、将来、売却や処分を行う時の為に、被相続人(両親等)が当時取得した価格や諸費用明細などの関係資料を出来るだけ収集しておきましょう。

当時に取得した価格は、売却の際に課税される不動産譲渡所得税に大きな影響を与える場合があります。